なぜ「いいもの」だけが値上がりするのか?
「最近、物価が高い」と感じる一方で、「高級ホテルや旅行は満席」というニュースを見かけませんか? この違和感の正体が、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の最新調査で明らかになりました。
レポートが示しているのは、単純な不況ではありません。 「物価高でも消費を止めない層」と「生活防衛に走る層」の二極化(K字型消費)です。
企業はこのデータを見て、戦略を大きく変えようとしています。 今回は、このレポートから読み解く「これからの価格設定の変化」と、これからの時代を賢く生き抜くための個人の戦略について解説します。
1. 「80%の節約」と「20%の浪費」
調査データによると、日本の消費者の約80%は物価高を受けて「節約・買い控え」をしています。しかし、残りの約20%の富裕層・高所得者層は「欲しいものには糸目をつけない」という姿勢を崩していません。
これが何を意味するか? 企業は今後、価格競争に巻き込まれる「安価なマス向け商品」よりも、「高くても買ってくれる20%に向けた高付加価値サービス」に注力するということです。
つまり、我々が普段買うような日用品やサービスの質は維持されるどころか、実質的な値上げ(シュリンクフレーション)が続く可能性が高い。 「待っていれば安くなる」という期待は、残念ながら捨てた方がよさそうです。
2. 「時価」が当たり前の世界になる
もう一つの重要なトレンドが、「ダイナミックプライシング(変動価格制)の浸透」です。
レポートでは、多くの消費者が「場所やタイミングによって価格が変わること」を受け入れ始めていると指摘されています。
- 「急いでいるから、高くてもコンビニで買う」
- 「混んでいる時期だから、高い料金を払う」
これは企業にとってはチャンスです。 AIを使って「需要が高まる瞬間」を狙い撃ちし、価格を最適化する動きが加速します。 これからは、何も考えずに買い物をしていると、知らず知らずのうちに「高いタイミング」でお金を払わされることになります。
3. AIによる「お得」の裏側
さらに、AIによる「パーソナライズ(個人への最適化)」も進んでいます。 「あなただけのおすすめクーポン」や「あなたへの特別価格」という通知が増えていませんか?
これは便利ですが、ビジネス視点で見れば「顧客単価の最大化」です。 AIは、あなたの過去の購買データから「この金額なら財布の紐が緩む」というラインを正確に計算して提案してきます。
「AIが選んでくれたからお得」なのではなく、「AIに乗せられて買わされている」状態にならないよう、主導権を持つことが重要です。
結論:守りと攻めのバランスを見直そう
このレポートが示唆するのは、「ただ節約するだけでは、ジリ貧になる」という未来です。 企業のターゲットが高単価層に移っていく中で、私たち個人ができる対策は2つです。
① 「固定費」を徹底的に可視化する(守り) 変動する価格に振り回されないよう、家計簿アプリなどで支出を「見える化」し、不要なサブスクや保険を削る。AIに管理される前に、自分で財布を管理しましょう。
② 「時間単価」を上げて収入源を増やす(攻め) ここが本質です。物価上昇に対抗するには、本業の効率を上げて残業を減らし、空いた時間でスキルアップや副業をするのが最も合理的です。 便利なツールやガジェットへの投資は、単なる浪費ではなく、「自分の時間を生み出すための必要経費」と言えます。
賢く道具を使って時間を捻出し、変化する経済状況にしなやかに適応していきましょう。












