その「人海戦術」はもう通じない
「生成AIで業務効率化」なんて甘い言葉を信じていませんか?
先日、ボストン コンサルティング グループ(BCG)とSalesforceが公開したバイオファーマ業界向けのレポートを読み込みました。 そこに書かれていたのは、単なるツールの導入話ではありません。 「今までの『気合と根性(と接待)』で薬を売る時代は終わった」という、事実上の余命宣告です。
今回は、このレポートが示唆する「製薬業界のOS入れ替え」について、現場のPM視点で解説します。 これを読めば、あなたの会社が「勝ち組」に残れるか、それとも「過去の遺物」になるかが分かります。
1. もう「足で稼ぐ」時代じゃない
これまで製薬業界の王道は、「優秀なMR(医薬情報担当者)を大量に投入し、足繁く医師に通う」ことでした。 しかし、レポートは断言しています。そのモデルは崩壊しつつあると。
今後の主役は「AIエージェント」です。
- Before: MRが医師のスケジュールを空気を読んで予測し、訪問する。
- After: AIが医師の行動データを分析し、「今、この先生はこの情報を求めている」と特定。最適なチャネル(メール、Web、あるいはMR)で情報を届ける。
つまり、「とりあえず行ってみる」という営業は淘汰されます。 Salesforceの「Agentforce」のようなAIが司令塔になり、人間はその指示に従って動く「実行部隊(あるいは高度な交渉役)」へと役割が変わるのです。
2. R&D(研究開発)の「事務作業」が消える
新薬開発において、最もコストと時間がかかるのが臨床試験(治験)です。 ここにもAIのメスが入ります。
レポートによれば、生成AIの導入によって創薬から上市までの期間が25〜30%短縮される可能性があるとのこと。 特にインパクトが大きいのが、膨大な「文書作成」の自動化です。
- 治験実施計画書(プロトコル)の作成
- 申請資料のドラフト作成
- 患者データの要約
これらを人間が夜なべして書く時代は終わります。 これから求められるのは、「資料を書くスキル」ではなく、「AIが出してきたドラフトの妥当性をジャッジするスキル(目利き力)」です。
3. 「データのサイロ化」が最大の敵
あなたの会社、営業データと研究データ、バラバラに管理していませんか? それが「負けフラグ」です。
AIエージェントが本領を発揮するには、すべてのデータが繋がっている必要があります。 「あの部署のデータはあっちのサーバーにあるから見れない」なんて言っている企業は、AI時代にはスタートラインにすら立てません。
Salesforceの「Data Cloud」のような基盤で、全データを統合し、AIに食わせられる状態にした企業だけが生き残ります。
結論:我々はどう動くべきか
このレポートが示しているのは、「AIに仕事が奪われる」という単純な話ではありません。 「AIを上司(司令塔)として使いこなせるか」という踏み絵です。
今後の製薬業界で生き残るための生存戦略は2つ。
- AIエージェントの「マネージャー」になる AIは指示待ち人間より優秀ですが、戦略までは決められません。「どのデータを食わせるか」「どう振る舞わせるか」を設計できる人間(PM)の価値は爆上がりします。
- AIにはできない「感情労働」に特化する データに基づいた提案はAIがやります。人間は、医師やKOL(キーオピニオンリーダー)との「データには表れない信頼関係」を築くことに全振りするしかありません。
うだうだしているうちに、外資系企業はAIエージェントを戦場に投入してきますよ。












