おはようございます。今朝の世界情勢は、堅調な米経済指標を受けた利下げ観測の後退と、トランプ次期政権が示唆する関税リスクが市場の重石となっています。欧州の政情不安も加わり、週明けのマーケットはリスクオフの様相を強めています。これら複雑に絡み合うグローバル動向を、5つのトピックで整理してお届けします。
米FRB高官、早期利下げに慎重姿勢を堅持
米連邦準備制度理事会(FRB)の複数の当局者は、過去24時間以内の発言を通じて、インフレ抑制の最終段階における不透明さを強調し、早期の追加利下げに対して慎重な議論を展開しました。最新の雇用統計やサービス業の景況感が予想を上回って堅調なことから、市場が期待していた3月までの連続利下げシナリオに疑問符が付いています。
※FRB(連邦準備制度理事会):米国の実質的な中央銀行。利下げは景気を刺激しますが、やりすぎるとインフレを招くため、その「時期」が世界中の投資家の焦点となります。
日本への影響:
米国の高金利が長期化するとの見方から、日米金利差を背景とした「円安・ドル高」圧力が再び強まる可能性があります。これは日本の輸出企業にはプラスですが、輸入物価の上昇を通じた国内インフレ加速のリスクを孕んでいます。
今後の展開:
今週発表される米消費者物価指数(CPI)が、利下げ時期を占う最大の試金石となります。予想を上回る数字が出れば、ドル円相場が一段と円安に振れるシナリオを警戒すべきでしょう。
出典: https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-01-25/fed-officials-voice-caution-on-pace-of-rate-cuts
トランプ氏、対カナダ・メキシコ関税の「即時実施」を再示唆
トランプ次期米大統領は自身のSNSを通じ、就任初日にカナダとメキシコからの全輸入品に対して25%の関税を課す方針を改めて強調しました。不法移民対策や麻薬密輸阻止を条件に掲げた「ディール(取引)」の一環ですが、北米自由貿易の枠組みを根底から揺るがす発言に、サプライチェーンの混乱を懸念する声が世界中で高まっています。
日本への影響:
北米を一体の市場として生産拠点を置く日本の自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダ等)にとって、メキシコ・カナダ製部品の対米輸出への課税はコスト構造を劇的に悪化させます。業績予想の下方修正を迫られるリスクがあります。
今後の展開:
実際に就任後に大統領令が発動されるか、あるいは交渉の進展によって緩和されるかが焦点です。カナダ・メキシコ首脳との電話会談の結果次第で、市場のボラティリティ(価格変動)が激しくなるでしょう。
出典: https://www.wsj.com/politics/policy/trump-tariff-threats-canada-mexico-supply-chain-impact-20260125
ドイツ政局の混迷、欧州経済の停滞懸念を一段と強化
ドイツの連立政権崩壊に伴う早期解散・総選挙に向けた動きの中で、主要政党間の対立が激化しています。欧州最大の経済大国であるドイツの政治空白は、ウクライナ支援や欧州連合(EU)の共通財政政策の停滞を招いており、ユーロ圏全体の景気後退(リセッション)リスクを深刻化させています。
日本への影響:
欧州市場への依存度が高い日本の工作機械メーカーや化学メーカーにとって、欧州の設備投資意欲の減退は受注減に直結します。また、ユーロ安・円高が進むことで、対欧州の輸出競争力が低下する懸念があります。
今後の展開:
2月の選挙に向けた世論調査で右派・左派のポピュリズム勢力が伸長すれば、ユーロ圏の統合自体への疑念が生じ、欧州株・通貨ユーロが一段と売られる局面が予想されます。
出典: https://www.ft.com/content/germany-political-crisis-economic-stagnation-eurozone-risk
中国、ハイテク分野での「自国優先」調達をさらに加速
中国政府は、国内の重要インフラを担う企業に対し、海外製半導体やソフトウェアの排除と、国産品への切り替えを加速させる新たな指針を通知しました。米国の輸出規制に対抗する「自力更生」の動きであり、世界のテクノロジー市場における「デカップリング(切り離し)」が一段と進むことになります。
日本への影響:
中国市場で高いシェアを持つ日本の電子部品や半導体製造装置メーカーにとって、中長期的な市場喪失リスクとなります。また、代替先となる中国メーカーの台頭による国際競争の激化も避けられません。
今後の展開:
米中間の技術覇権争いは、次期トランプ政権でさらに激化する見通しです。日本企業は「中国+1(チャイナプラスワン)」戦略の再構築を、これまでにないスピードで進める必要に迫られるでしょう。
出典: https://www.economist.com/china/2026/01/25/china-ramps-up-tech-self-reliance-drive
エヌビディア、次世代AIチップ「Rubin」の量産体制を確立
AI半導体の王者エヌビディアは、現行の「Blackwell」の次世代にあたる「Rubin」アーキテクチャの量産に向けた主要サプライヤーとの契約を完了した模様です。生成AIの爆発的な需要が続く中、競合他社を突き放すスピードでの製品投入は、AIインフラ投資が2026年も世界経済の牽引役であることを示唆しています。
日本への影響:
エヌビディアのサプライチェーンに食い込んでいる日本の半導体材料(レジストや封止材など)や、検査装置メーカーにとっては、強力な追い風となります。また、AIを活用した国内企業の生産性向上投資も加速するでしょう。
今後の展開:
今週末の米テック企業の決算発表において、AIへの投資継続が改めて確認されれば、ハイテク株主導の株価回復が期待できます。一方で、電力需要の急増に伴うエネルギー関連株への波及にも注目です。
世界市場は今、米国の「強すぎる経済」への警戒と、トランプ流の「予測不能なディール」の板挟みにあっています。特に製造業に携わる皆様にとっては、北米の関税動向が死活問題となる一週間になりそうです。不確実性が高い時こそ、ミクロな事象に惑わされず、金利と通商の「大局的な流れ」を冷静に見極める姿勢が求められます。それでは、今週も気を引き締めていきましょう。











